日常生活を送るなかで、林業という仕事に触れる機会はなかなかありません。しかし、日本は有数の森林大国であり、昨今は地球温暖化防止に対する期待も込めて、注目されている職業の一つです。
林業は、豊かな森林を維持管理しながら、育成した樹木を伐採し木材資源とすることを生業としています。伐採された木材は建材や紙の原料として使用され、人々の生活には欠かすことのできない資源です。
本記事では、普段目にする機会の少ない林業の仕事内容を具体的に解説します。
林業の8つの仕事内容
林業の仕事内容は、主に以下の8つに分けられます。これを主に1年を通して繰り返すことで、豊かな森林を維持し、木材資源を絶やさないようにしているのです。
1.地ごしらえ
2.植え付け
3.下刈り
4.除伐
5.枝打ち
6.間伐
7.主伐(収穫)
8.集材
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.地ごしらえ
地ごしらえとは、木材を伐採したあと、苗木の植え付けを行うために、散乱した木や枝葉を取り除く作業のことです。地域によりますが、一般的に2~3月に行われます。
地ごしらえには、苗木を植える場所の確保だけでなく、以下のような目的もあります。
・集めた枝や雑草を整理・配列することで苗木の養分とする
・伐採場所からの表層土流出の抑制
・伐採場所の土壌乾燥・霜柱発生の抑制
・苗木植栽時の安全確保
2.植え付け
地ごしらえが完了したら、苗木を一定間隔で植えていきます。4~5月にかけて行う作業です。雪が深い地域では、秋に植栽する「秋植え」が主流の地域もあります。
3.下刈り
下刈りとは、苗木よりも成長が早い雑草を、苗木の生育を妨げないよう刈り込む作業です。この作業により、苗木に十分な日光が当たるようになります。
一般的に、植え付け後、数年間、毎年夏に行うため、林業の仕事内容のなかでも大変な作業です。
4.除伐
除伐とは、形質のよい幼齢木の生育環境を良くするため、他の樹種を刈る作業のことを指します。間伐とは異なり、除伐は育成途中の幼い木を守るために行う作業です。
そのため、除伐ではチェーンソーではなく、柄のついた鎌を使用し、除伐された木は基本的に廃棄されます。
5.枝打ち
節のない良質な木材を生産するため、下枝を切り落とす作業が、枝打ちです。余分な枝を切り落とすことで、病虫害などの防止にも役立ちます。
6.間伐
樹木が成長すると、密集してお互いの生育の妨げになってしまったり、日光が十分にあたらなかったりします。そのような事態を避けるため、混み具合に応じて一部の木を伐採することが間伐です。
間伐を行わないと、やがては木の根が浮き上がり、台風や大雨の際に土砂災害が発生する恐れもあるため、間伐は重要な作業といえます。
7.主伐(収穫)
成長した樹木が資材として利用できる時期に達したら、いよいよ主伐です。杉の場合、住宅の柱として使える大きさにするには、約40年以上かかります。
主伐後、必ず植え付けを行い、森林維持に努めます。
8.集材
造材された木を林道など市場に運ぶのに便利な場所まで集める作業が集材です。ひと昔前までは人力や家畜の力で地道に行われていた作業ですが、近年では高性能林業機械を活用し、作業の効率化が図られています。
まとめ
人々の生活に欠かせない林業。豊かな森林を維持し、良質な木材資源を生育するためには、本記事で紹介した、8つの仕事内容のサイクルが大切です。
最近では機械を投入して作業効率化を図り、従事する職員の負担軽減も進められています。そのことも相まって、今後は、林業への女性進出やさらなる機械化が期待されている産業です。