林業というと、切る姿が思い浮かびます。
山から木を切り出すのが林業の仕事なことに間違いはありませんが、
木を切る作業と同じくらい重要なのが切り出した木材を運び出す「運搬」です。
大きく重い木材をどうやって運搬するかは大きな課題のひとつであり林業の創意工夫の歴史でもあります。
今回は、林業における運搬について解説します。
運搬は重要だが大変な作業
林業において最も苦労を伴う作業が「運搬」です。
林業の作業はどれも大変な仕事ばかりです。
危険を伴う作業も多く苦労の連続ですが、運搬は数ある作業の中でももっとも重要かつ大変な作業です。
どんなにたくさん機を切り出したところで運搬できなければ無意味です。
林業の作業地は山の中であり車が通れる道は限られます。
場所によっては徒歩意外ではいけないことも多く、
そのような難所で伐採された木を麓まで運搬するのは簡単な作業ではありません。
実際の林業のコストを見てみると運搬が大きな割合を占めています。
切りだされた木材の重量は大きい物になると数百キロにもなり、
そのような巨大で重い物を運搬するのにコストがかさんでしまうのも当然です。
技術が発展する以前は人馬の力で運搬されていた木材ですが、
自動車や大型機械ができて以降も運搬が重労働であることに変わりはなく現場では苦労の連続です。
運搬と路網の関係
林業の運搬とは山の中の伐採現場から麓の加工場に運ばれ消費地である都市に出荷されるまでの全ての運高低を指します。
山の中からの運びだしと消費地への出荷では当然使われる機材は異なりますが、
どちらも林業を支える重要な運搬作業であるのは紛れもない事実です。
伐採現場からの運搬で課題となるのが路網への対応です。
路網の状況次第で搬入できる機材や使える自動車も変わってきます。
路網が充実したエリアではクレーンやトラックなどの大型機械や自動車が利用できるので運搬効率も高まりますが、
人がやっと歩ける程度の道しかないようなエリアでは大型機械の搬入が難しく、
手持ち出来る程度の道具や器材を利用し、
昔のやり方に近い人力だよりの方法で自動車が入れるエリアまで木材が運搬されます。
運搬に使われる機材
林業の現場では様々な機材が使われています。
「トラック」は我々にも身近な運搬機剤です。
加工場や製材所から都市に向けての運搬で使用されるほか、
伐採現場から加工場などある程度の距離がある移動にはトラックが大活躍します。
大量の木材を積み込める大型トラックから狭い林道にも入れる軽トラックまで、
さまざまなサイズのトラックが使われています。
枝打ちされ丸太状に加工された木材を運搬するのが「フォワーダ」です。
小型運材車とも呼ばれるフォワーダはクレーン付きの小型キャタピラ自走車で十数本の木材を積み込んで運びます。
伐採した地点から集積用のトラックまでのあいだの運搬に使われます。
人が乗り込むサイズから手押し車スタイルまでいろいろな大きさが用意されています。
傾斜が急で林道もない伐採所では「モノレール」が使われることがあります。
木材だけでなく人の移動にも使われます。
その他にもロープウェーのような「自走式搬器」やブルドーザー型の「林業用トラクタ」など
さまざまな機材が安全に木材を運搬するために使用されています。
一般の人のところにはあまり情報は届かないですが、
林業用運搬機材は日々進歩を遂げており、専門の業者によって全国に販売されています。
まとめ
運搬というのは地味で目立たない作業かもしれないですが、
林業においては欠かせない重要な役割であり、まさに縁の下の力持ちです。
大きく重い木材を我々が安全かつ簡単に利用できるのは運搬技術の発展のおかげです。
伐採だけではなくさまざまな作業により林業が成立しているのです。