造林や伐採などの林業労働(事業)は、天候の影響も受けやすく、足場の悪い場所で作業をしなければなりません。
チェーンソーなどの重量物も扱うことなどから、労働災害の発生頻度について不安な部分も少なからずあります。
この記事では、林業の安全対策について知ってほしいための情報を共有します。ぜひ、一読してみてください。
災害を未然に防ぐ
林業という事業では、作業する者の「慣れ」による油断、過信をはじめ、安全管理体制の不備や安全軽視によって労働災害が残念ながら発生しています。
労働災害の事例を教訓とし、それを汲み取り、同じ災害を未然に防止しなければなりません。
この「労働災害」については、労働者が業務中、業務を起因して受けた災害になります。
・不安全な状態(物的要因)
・不安全な行動(人的要因)
・安全衛生管理上の欠陥
この3つの要因により生じていると考えられています。ですから、この要因について対策ができれば、労働災害は起こりにくくなると言えるでしょう。
安全対策について
ここからは、林業で働く作業者共通の安全対策についてご紹介します。
・保護帽の完全着用(頭を守るために必要になります。)
・チェーンソーの正しい使用と、作業用防護衣の着用
・伐倒木や玉切材などが転落する危険のある場所での上下作業の禁止(巻き込み事故を未然に防ぎます。)
・危険作業箇所への標識の設置(目視で危険性を把握しやすくします。)
・安全に配慮した作業計画の策定
これらは、作業者共通となる事項です。次に伐木作業での安全対策についてご紹介します。
伐木作業
伐木とは樹木を切り倒すこと。そのため、くさび、チェーンソーを使用した作業になります。作業内容としては以下の通りです。
・伐倒する立木の状態を確かめて風向きなどに注意して伐倒方向を決める
・伐倒する周囲の草木を刈り払いし、足場を確保
・退避場所を選定しておく
・伐倒する
この作業において、労働災害防止のための安全対策は以下の通りです。
・特別教育の実施
・伐倒方向の検討
・退避場所の確保
・伐倒予定の木から一定間隔離れる
・受け口の深さ、追いロの高さを確認
・伐倒の際にはくさびを使用する
・伐倒合図を定める
・作業者以外は立入禁止区域とする
このように、大きく高さのある大木を倒す作業のため、作業者にとっては倒れてくる方向に十分配慮しなければならないことも良く分かると思います。
安定した足場づくりを行い、周囲に気を配ることにより、労働災害防止に繋がると言えます。
ほかにも、林業の安全対策については、かかり木の処理、造材作業、刈払機の使用などにおいても労働災害防止対策用のマニュアルが用意されています。
林業分野での働き手について
林業のみならず、事業内容によって危険性の高い作業もあります。「危険だから安全な事業を選びたい」といった働き手の不足についても、各業界において課題になっています。
林業と深い関わりのある土木業界の安全性については大幅に改善されています。現在、林業も同じように労働災害防止対策を強化し、組織マネジメントを改善しており、安全で働きやすい業界(職場)になっています。
そのため「林業で働きたい」と言う若者も増えています。この安全性を向上させることができた要因は、業界、会社組織として取り組んだことが大きいでしょう。
また、農林大学校の学生も安全に伐木練習を繰り返し行うことができる、そのような環境を整備しています。伐倒技術の向上をはかるとともに、労働災害の低減のために事業支援も広がっています。
おわりに
林業に限ってではなく、事業内容によって危険と隣り合わせで作業せざるを得ないケースもあります。安全性について、年々向上しています。少しでもこの内容に関心や興味を深めて頂けると幸いです。